セラピーサロン「モデラートカンタービレ」 の日記
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「見るな」
2012.06.20
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わたしの父はもう、他界している。
生前、父がヒステリックにわたしに叫んだことがあった。
「見るな!」
帰宅の遅い娘を叱る父。
口ごたえもせず、わたしは父の目を見ていた。
人の話を聞く時は、人の目を見なさいと躾けられていたので、そうしていただけ。
父の怒りは、得体の知れないものを見るような恐怖と相まっていた。
仕方なく、視線を反らし、怒鳴る父の真っ赤に立ち昇るオーラを見ていたっけ・・・。
子どもの頃から人には色んな色の光があることを知っていた。
怒りの赤は度を過ぎると、真白に燃え上がる炎のようだ。
ハートの位置の色、頭のまわりの色、お腹の色。
チャクラというボキャブラリーもない幼い頃のわたし。
恋人に、友人に、親にさへ忌み嫌われるわたしの目。
封印しきれない感覚。
でも・・・。
その感覚を使って、何千人という人を鑑定してきた。
人が光を目指すことに使ってきた。
視力の衰えに比例するかのように、研ぎ澄まされる感覚。
色と光と音が伝えてくるエネルギーの視覚化。
生まれて初めて出会う異性、父。
わたしは、ありのままのわたしを忌み嫌わずに愛してくれる父が欲しかったのだ。
今はもう、肉体を待たない父は、父の死をもって、わたしの中に同化しているのだけれど、忘れていた頃に、ふと、甦る傷心の断片が・・・、ある。